世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)の資金調達

ロータリーは、世界ポリオ根絶推進活動1 の主要なパートナー、また主要な出資者です。ロータリアンによる支援と、パートナーであるゲイツ財団のコミットメントにより、累計寄付額は29億米ドルを超え、現在も増加しています。ゲイツ財団は、ロータリアンの寄付に対して2倍額の上乗せ寄付を継続しています。

政府(公共部門)は、専門機関の活動資金を提供する上で重要な役割を果たしています。これには、自国の国内リソースを投入する公的機関や国家政府が含まれます。また、世界銀行などの多国間機構を通じて政府から提供される支援もあります。1985年から2023年までの間、公共部門の貢献はGPEI資金の127.2億米ドル(62%)を占めています。民間部門と非政府組織(NGO)からの貢献は、ロータリーとゲイツ財団を筆頭に、GPEIへの資金提供総額の80億ドル超(39%)を占めています。 

ロータリーは、政府に対するアドボカシー活動を通じて、GPEIに対する公共部門からの支援を確保する上で重要な役割を担い、現在もその役割を果たし続けています。 

ただし、これらの数字は一部の情報に過ぎません。公共部門の支援動向は、新型コロナ流行の影響、特定国に影響を与える経済的不確実性、人道危機への対応を含むほかの優先事項との競合など、多様な要因により変化してきました。この表は、GPEIが拠出金の財務情報を公表した2023年までの、公共部門と民間部門の支援動向を示しています。

ほかの優先課題も常に存在しますが、私たちは政府リーダーたちに、ポリオのない世界がロータリーの最優先課題であること、また、これが実現可能であり、価値ある投資であることを繰り返し伝えていくことができます。 

ポリオ根絶のためのグローバルプログラムの進展 

    •    1988年に世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)が開始した当時、125カ国で年間35万件の野生型ポリオの症例が報告されていました。以来、症例数は99.9%減少しました。

     •    GPEIは、ワクチン投与活動を通じてポリオの感染と伝播を減少させることで、2,000万人を超える子どもを身体まひのリスクから守ってきました。  

     •    根絶活動により、三つの野生型ポリオウイルス株のうち二つが根絶されました。 

     •    2024年にアフガニスタンとパキスタンで100件未満の症例が報告され、これら2カ国は依然としてポリオ感染が続く唯一の地域であり、不安定な状況により子どもへのワクチン接種活動が妨げられています。

      •    新型コロナ流行による医療サービスの中断後に増加した変異型ポリオウイルスの流行は、免疫接種率が低い地域における継続的な課題となっています。しかし、2024年におけるこのような症例は、2023年と比較して、地理的に限定された地域でほぼ50%減少しました。

     •    GPEIは年間3億7,000万人以上の子どもに複数回ワクチン接種を実施しています。継続的なポリオ根絶活動により、毎年65万人以上の子どもが身体まひのリスクを免れています。

     •    2022年には、ニューヨーク州で数十年間ぶりにまひ性ポリオの症例が確認され、複数の郡で下水からポリオウイルスが検出されました。ポリオがどこかで発生している限り、それは世界全体での脅威となります。 

ポリオ根絶のメリット 

1985年以来、約30億人の子どもに経口ポリオワクチンの接種が行われてきました。また、急性弛緩性まひの症例を調査し、大規模な予防接種プログラムを管理するための民間のヘルスワーカーが数千人、研修を受けました。さらに、ポリオ根絶のイニシアチブにより、予防接種のためのコールドチェーン、輸送、通信システムが強化されました。  

ポリオ根絶は、ワクチンで予防可能なほかの感染症の制御に役立つ公衆衛生システムと、疾病サーベイランスシステムの構築に役立っています。ポリオ根絶のために設立された146の研究所と訓練を受けた人員からなるサーベイランスシステムは、麻疹、風疹、黄熱病、髄膜炎、新型コロナを含む致命的な感染症への対応に役立っています。急性弛緩性麻痺(AFP)のサーベイランスシステムとそれを支えるグローバルな研究所ネットワークは、ポリオ根絶後もほかの疾病のサーベイランスを支えることになります。ポリオ予防接種キャンペーンは、必須ビタミンAの配布など、ほかの重要な保健サービスを提供する機会として活かされ、1998年以降、125万人を超える子どもの命を救ってきました。 

1988年以来の根絶活動により、270億ドルを超える保健上のコスト節約効果がもたらされました。また、現在ポリオ根絶に投資することで、根絶せずにポリオへの対応を維持する場合と比べて、今世紀末までに累計で331億ドルの節約効果が期待されます。ポリオ根絶は、その恩恵が永久に持続するため、コスト効果の高い公衆衛生投資です。一方、世界が既に根絶に投資した20億ドル以上の資金を有効活用できなければ、今後10年間で年間最大20万人の子どもが身体まひとなる可能性があります。 

ロータリーのレガシー 

1985年、ロータリーは世界中の子どもをポリオから守るという歴史的な決断をしました。現在、世界はポリオフリーを達成しようとしています。世界各国政府、市民社会、パートナー機関の継続的なリーダーシップのもと、ロータリーはポリオのない世界という約束を必ず果たします。 

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1 GPEIのそのほかのパートナーには、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、米国疾病対策防センター(CDC)、ゲイツ財団、およびGavi(ワクチンアライアンス)が含まれます。

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Rotary International | 5月. 23, 2025