たった2滴のワクチンで… 海をこえたワクチン投与体験記
7月. 17, 2017
* サイト管理者より:本稿はブログ「ロータリーボイス」からの転載です。関連写真はこちらのページからご覧いただけます。
もうすぐデリー。ヒマラヤからくる川は夕日に光っていた。
夕方6時、デリーのインデラ国際空港に到着。4回目のインド訪問である。入国手続きを済ませ、いつものガイドと落ちあう。インドの街は来るたびに進化しているが、三輪車の後ろに人が鈴なりに乗って、バイクは人をたくさん乗せて車のあいだをすり抜ける。混沌として、通りには牛や水牛、ヤギまでも … まるで動物園だ。
ロータリーのシャツと帽子をかぶって、街を歩く。世界に猛威をふるったポリオ(小児まひ)を撲滅するのも、あと少し。ポリオ撲滅には日本人のかかわりが大きい。インドではさまざまな工夫を凝らして、国全土で二度と罹患者が出ないよう、5歳以下の子どもたちに全国一斉でワクチンを投与するようになった。ワクチンの保存用冷凍庫も研究された。
今回、ロータリー第2780地区(川崎と横浜を除く神奈川)のポリオ撲滅行動グループは、貧困レベルが最も厳しい地域を担当した。ヒンズー教徒の庭先にバスから降りると、子どもたちがどんどんやってきた。赤ちゃんを抱っこした若い母親やおじいさん。5歳以上の子は近所の子どもたちを連れてくる。口に2滴の命の薬水を受ければ、おいしいペコちゃんの飴ももらえる。棒の付いた飴は人気だから、私のトランクは飴で半分。子どもの服はボロボロ、裸足の子どもが多い。ワクチン接種が終わっても、なかなか帰らない。
デリーだけで1日3,000人以上がポリオを発症した現実がある。ロータリーが長年取り組んできたポリオ撲滅。この運動に出会って、現地で活動できるのは幸せ。私は、人生で最高に素敵な時を過ごす。
たった2滴のワクチンで、自由に歩き、走り、木登りできる体が約束されるなら、また来年も同じロータリーのシャツを着て、元気に日本から行きたい。
4年前の視察時に、セントステファン病院のポリオ病棟で、目を輝かせる青年に出会った。ポリオ病棟にいた青年は、つらい手術とリハビリを繰り返していた。しかし、ここまで来て治療を受けられるのは幸運なことで、彼もそれを意識していた。彼は英語で、「日本のロータリークラブの皆さんに、ありがとうと伝えて下さい」と言う。「承知した。伝えるよ。」私は、ほほ笑んだ。
これを読まれた方へ。お近くのロータリーの方々にこの言葉を伝えてください。「ありがとう」と。