ポリオ撲滅活動:最も困難な最後の道のり
10月. 26, 2017
私は子どものとき、医者、特に獣医または一般開業医になりたいと思っていました。のちに感染症に関心を抱いた私は、米国での疾病の管理と予防を行う連邦機関、「米国疾病対策センター(CDC)」に勤務することとなりました。
CDCでは、脳と脊髄の感染を引き起こす細菌性髄膜炎を研究するグループで主に仕事をしました。その頃、B型細菌インフルエンザへのワクチンが開発され、全国で子どもへの予防接種が行われたことにより、年間何千件もあった患者数が、数十件にまで減少しました。予防接種による大きなインパクトを目の当たりにした私は、ポリオ撲滅の分野で仕事をしようと決心しました。
1998年、世界保健総会がポリオの撲滅を採択しました。2017年ロータリー国際大会でも示されたように、ロータリーは当時から資金面で主要な支援団体となっており、撲滅活動において大変重要な存在でした。ロータリアンの方々はこれから3年間、ポリオ撲滅のために毎年5000万ドルを集めることを約束しました。ロータリーからの寄付に対し、長年のパートナーであるビル&メリンダ・ゲイツ財団が2ドルの上乗せを行ない、最終的な寄付額が3倍になるのです。
資金調達だけでなく、私がロータリアンについて感心するのは、それぞれの国の市民や政府に対して、ポリオ撲滅への義務感を伝える能力があることです。私はまさにこれをインドで目の当たりにしました。撲滅活動の開始時、私たちは主要な政治家たちから拒絶されましたが、地元ロータリアンによる尽力で、最終的には撲滅プログラムを成功させることができたのです。
現在、ポリオの野生ウイルスは、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアの3カ国に存在していると考えられています。この3カ国は、ポリオとは違った人為的な問題を抱えており、撲滅活動は非常に難しい状況にあります。
しかし、これらの国での活動をやめたり、後回しにしたりすることはできません。ウイルスがどこかに存在する限り、すでにポリオが撲滅されている場所ですら、いつまた蔓延するか分からない状態にあるのです。そのため、ワクチンを届けることが最も難しい地域にいる子どもたちに、今、予防接種を行わなければなりません。
疫学者としての仕事において、私は疾病の撲滅が可能であるということを学びました。また、ポリオが患者やその家族にもたらした影響も見てきました。この経験から、私はこれからもポリオ撲滅の現場で仕事をしていこうと固く心に決めています。